詩 『くじら』
くじらのダイナミックなジャンプを見るのが好きで、
インスタでリールを飽くことなく眺めています。
自分が、自力で行けない遠くの海に生きている生物。
自分と違い過ぎて、どうやって生きているのか
想像もつかないです。
『くじら』
本当は くじらの話をしたかったんだ
灰色の海から
ざざざーっと
水を引き連れて
天を目指して飛び上がる
重たいからだを
重力に逆らわせる力強さよ
そして 空中で 身をよじって
ばっさーんと 背中から着水する
あの大きなからだ
踏切板もないのに
どうやって飛び上がるのだろう
どうして空中で
からだをよじるのだろう
海の中の最大の生物には
敬意を払わなければならない
わたしのような小さな魚は
彼らが ふと あくびをした瞬間に
飲み込まれないよう
逃げ回るのに精一杯だ