双極の波は あヲの波 創作とか診療日記とか

吐き出せない思いで窒息しないために

2021-01-01から1年間の記事一覧

詩 『一日』

最近は、薬を飲むためだけに 毎日を過ごしている気がします。 『 一日』 目覚める 薬をのむ ごはんを食べる 薬をのむ 薬をのむ 寝る わたしの一日

詩 『海の底は見たことがない 』

最近、とても具合が悪くて、 とうとう抗うつ剤が追加になりました。 ちょっと前まで出来ていた 本を読むこと、音楽を聴くことが 出来なくなっています。 先のことはあんまり考えず、 抗うつ剤が効いてくるまで 海に漂うようにぼーっとしていようと思っていま…

詩 『十三夜』

『十三夜 』 雲はスマホでも撮れるけど 月は上手くは撮れない やっぱり月は 遠いんだね かぐや姫でもないくせに 月を見て ため息をつく十三夜

本の感想 『うたうおばけ』くどうれいん 『水中で口笛』工藤玲音

第165回芥川賞候補の『氷柱の声』の作者、くどうれいんさん(長い文章の時はひらがな表記、短歌・俳句の時は漢字表記)の第一歌集『水中で口笛』と、エッセイ集『うたうおばけ』を読んだ。 短歌の題材が、身の回りのもので、それがとても自然で、素敵に思え…

詩 『手のひらに修羅を』

タイトルは、寺山修司の『ポケットに名言を』から。 ポケットに文庫本をねじ込む時代から スマホで詩を読む時代になったなと思ったので。 片づけが苦手で、文庫本はよくなくして、 何度も同じ本を買ってしまいます。 なので、なくしたくない『春と修羅』は …

詩 『くじら』

くじらのダイナミックなジャンプを見るのが好きで、 インスタでリールを飽くことなく眺めています。 自分が、自力で行けない遠くの海に生きている生物。 自分と違い過ぎて、どうやって生きているのか 想像もつかないです。 『くじら』 本当は くじらの話をし…

詩 『無気力』

コロナ禍において、大うつ病、不安障害の患者が大幅に増加しているそうです。 medical.jiji.com そうですよね、元々、メンタルやられてる民は、 さらに一段深く落ち込んでいくようです。 『無気力 』 完全停止するのが面倒で そのまま呼吸し続けてる 最近 ず…

詩 『共感力』

共感力が高いのは、双極性障害2型の特徴の一つだそうです。 でも、思えば、小さい頃から、余計なことに首を突っ込むことが多かったですね。 「優しさ」と解釈されるものが、自分にとっては、 どの範囲の人たちのことまで考えればいいのだろう?と思いつつ、 …

9月の診察日記

9月は、とにかく夜眠れなかった。 朝6時ごろまで眠れない時が多く それは、眠剤を飲んでいなくても その時間になれば眠れるので、 まったく、薬が効いている気がしないと言った。 それで、昼間に寝てしまう。 天気が悪かったせいもあって、 ほとんど外にも出…

詩 『新月』

インスタもツイッターも、 中秋の名月の映える写真で溢れていて、 どう撮っても、映えない景色が画角に入ってしまう 私のところからは、 見えない新月を想像する方が美しく思えます。 『新月』 満月の輝きより 新月が好き そこにあるのに 見えないものに 思…

詩 『デパ地下』

先日、ツイッターで、ボードレールの『旅のいざなひ L'Invitation au Voyage』という詩について書いたので、 そのお誘いへの返信です。 私が持っているのは、鈴木信太郎訳『惡の華』(岩波文庫)で、 古典的な言葉づかいが、とても素敵な訳文です。 なのに、…

本の感想 『今日は誰にも愛されたかった』 著:谷川俊太郎 岡野大嗣 木下龍也

短歌と詩の連詩という、イレギュラーな形の作品。 最初に、連詩の順番で作品が並んでいて、その次に、お三方の「感想戦」があって、最後にもう一度、全体を通して読むような構成になっている。面白かったのは、感想戦を読んだ後で、全体を音読してみると、ひ…

詩 『再起動』

『再起動』 どうして わたしには 夜 眠くなって眠る 朝 ぱちっと目を覚ますという 人間の基本的な営みが 難しいのだろう? 無音の午前3時 どうして? どうして? 頭の中で静かに再起動が 繰り返される 止める方法を わたしは知らないまま

詩 『金木犀』

この1年半で、すっかり手が荒れてしまいました。 『金木犀』 金木犀のハンドクリーム あの香りを身に纏えるなんて うっとりする 消毒液で爛れた手に ヴァセリンを塗りながら思ふ

詩 『コンビニ』

『コンビニ』 光あれ と 世界が創られたのならば 深夜のコンビニは 世界の始まり

エッセイ 死者を悼む詩

わたしには 詩人の知人がいる 最近、新しく出版された詩集を 送って下さった その方の詩は ことば使いは柔らかいが 死者を悼む詩が多く その詩が持つ感情の強さに圧倒される 死を悼む詩と言えば、 わたしにとっては 宮沢賢治の『永訣の朝』だ あの天を衝く慟…

8月の診察日記

8月は、なんだかバタバタしていた。 いつものように、Google calendarを見ながら、 主治医に、一か月にあったことを話した。 在宅の仕事が少しあったこと、 ワクチンの2回目を打ちに行って、 2~3日はだるかったこと、 友人が亡くなったこと 友人の訃報を…

詩 『あヲ色』

今年、海に行くために買ったネイルは、一度も出番がないまま、 8月31日になってしまいました。 『あヲ色』 さよなら 夏 小瓶に閉じ込められたあヲは 海にたどり着けないまま 夏が終わる キラキラのラメが光を反射し 何万倍にもなって 眩しい波になることもな…

詩 『人工衛星』

綺麗な夜空の写真を見ながら、 本物を星を見たのは いつだったろう?と思ったので。 都会の薄ら明るい空からは星は見えないんです。 『人工衛星』 あの北の空に輝く明るい星 あれは 北極星? それを中心に天が廻り 旅人の道しるべになる星? ううん あれは人…

詩 『墜ちる』

日曜日から気分が落ちています。 ここ2日間は、ずっと横になっています。 今は、こんな気分です。 『墜ちる』 空から墜ちた フライトレコーダーは 記憶を抱いたまま 海溝の底まで転げ落ち もう 陽の光に 照らされることは ありませんでした その海は 青も 藍…

詩 『最期の空』

最近は、近くを散歩するくらいしか外出しなくて、 特に、目新しい写真が撮れないのですが、 「今日も別に変わった形してないな、雲」と思って見上げた空が、 もしかして、これが最後に見る空になることだって、 あるかもしれない、と思って、 写真撮りました…

詩 『祈り』

愛しみは、愛するものを失った悲しみのこと。好きな歌や詩が、支えてくれる瞬間ってあると思う。《メルト 》のところ、自分の好きな歌に置き換えて読んでみて下さい。 『祈り』 ≪メルト≫は心のお守りだ 心が沈みそうな時 ぼくは 見えない≪メルト≫を 左の掌で…

詩 『残りのことば』

『 残りのことば 』 月も 星も 風も 花も 木々も 海も 雨も 雪も 雲も 輝き 溶けて 吹き荒ぶ 広辞苑はあんなに重たいのに 詩人たちの手垢が付いた ことばばかり あとには 何が残されているのだろう? それでも 月は昇る 送電線の間(ま)に

日記 昨日同級生が亡くなった わたしは「続き」のために真夜中にカップラーメンを食べた

昨日の朝、というか、もうお昼だったけど、 起きて、スマホで時間を見たら、 友だちから連絡が来ていた。 同級生が亡くなったと。 慌てて、その子のSNSを見たら、 ご家族の名前で、 「〇〇は、何日に永眠いたしました」って 定型文みたいなのが載っていて、 …

7月の診察日記

今の主治医には、2020年5月からかかっている。 診療は、月に1回。 毎回、「どうでしたか?」と聞かれて、 「沈みがちだった」とか、 「急に3日くらい元気になった」とか、 Googleのカレンダーを見ながら話す。 色んなアプリとか試したけど、 結局、どれも長…

詩 『畏怖と憧憬』

これは、子どもの頃、親の仕事の都合で数年を過ごした離島での経験です。 『畏怖と憧憬』 海に呑まれてしまったら わたしはどうなっていたんだろう あのとき 子どもの頃を思い出す 外海に突き出す岩山のような島 海は泳ぐための海じゃなかった 船が行き交う…

詩 『可視光線』

『可視光線』 世界はポジティブとネガティブの 2つの要素で出来てる訳じゃない 紫外線と赤外線の間の可視光線が 本当は 紫 藍 青 緑 黄 橙 赤の 七色じゃなく 無限のグラデーションであるように 2つの間には無限の層(レイヤー)がある だから ポジティブだ…

詩 『推し』

『推し』 推しは 闇堕ちしないための 最後のよすが

詩 『因数分解』

『因数分解』 因数分解なんてことばを わたしは 使えない だって 数学のテスト6点だったし 椎名林檎みたいな 心の底から絞り出すことばに憧れる でも わたしは心が動かないから そんなことばは 出て来ない 嘘はつきたくないから もう 嘘はいっぱいついてるか…

詩 『過呼吸』

最近はあまり起こさなくなったけど、以前はよく夏に起こしていたので、 自分的には夏の季語。 『過呼吸』 すぅっと空気が薄くなる あっ という間に 空気が肺から抜けていく 陸に上がった人魚姫は窒息する 息が出来ない 息が出来ない 願いはたったひとつ 過去…