双極の波は あヲの波 創作とか診療日記とか

吐き出せない思いで窒息しないために

2021-09-01から1ヶ月間の記事一覧

詩 『新月』

インスタもツイッターも、 中秋の名月の映える写真で溢れていて、 どう撮っても、映えない景色が画角に入ってしまう 私のところからは、 見えない新月を想像する方が美しく思えます。 『新月』 満月の輝きより 新月が好き そこにあるのに 見えないものに 思…

詩 『デパ地下』

先日、ツイッターで、ボードレールの『旅のいざなひ L'Invitation au Voyage』という詩について書いたので、 そのお誘いへの返信です。 私が持っているのは、鈴木信太郎訳『惡の華』(岩波文庫)で、 古典的な言葉づかいが、とても素敵な訳文です。 なのに、…

本の感想 『今日は誰にも愛されたかった』 著:谷川俊太郎 岡野大嗣 木下龍也

短歌と詩の連詩という、イレギュラーな形の作品。 最初に、連詩の順番で作品が並んでいて、その次に、お三方の「感想戦」があって、最後にもう一度、全体を通して読むような構成になっている。面白かったのは、感想戦を読んだ後で、全体を音読してみると、ひ…

詩 『再起動』

『再起動』 どうして わたしには 夜 眠くなって眠る 朝 ぱちっと目を覚ますという 人間の基本的な営みが 難しいのだろう? 無音の午前3時 どうして? どうして? 頭の中で静かに再起動が 繰り返される 止める方法を わたしは知らないまま

詩 『金木犀』

この1年半で、すっかり手が荒れてしまいました。 『金木犀』 金木犀のハンドクリーム あの香りを身に纏えるなんて うっとりする 消毒液で爛れた手に ヴァセリンを塗りながら思ふ

詩 『コンビニ』

『コンビニ』 光あれ と 世界が創られたのならば 深夜のコンビニは 世界の始まり

エッセイ 死者を悼む詩

わたしには 詩人の知人がいる 最近、新しく出版された詩集を 送って下さった その方の詩は ことば使いは柔らかいが 死者を悼む詩が多く その詩が持つ感情の強さに圧倒される 死を悼む詩と言えば、 わたしにとっては 宮沢賢治の『永訣の朝』だ あの天を衝く慟…

8月の診察日記

8月は、なんだかバタバタしていた。 いつものように、Google calendarを見ながら、 主治医に、一か月にあったことを話した。 在宅の仕事が少しあったこと、 ワクチンの2回目を打ちに行って、 2~3日はだるかったこと、 友人が亡くなったこと 友人の訃報を…

詩 『あヲ色』

今年、海に行くために買ったネイルは、一度も出番がないまま、 8月31日になってしまいました。 『あヲ色』 さよなら 夏 小瓶に閉じ込められたあヲは 海にたどり着けないまま 夏が終わる キラキラのラメが光を反射し 何万倍にもなって 眩しい波になることもな…