双極の波は あヲの波 創作とか診療日記とか

吐き出せない思いで窒息しないために

9月の診察日記

 

9月は、とにかく夜眠れなかった。

朝6時ごろまで眠れない時が多く

それは、眠剤を飲んでいなくても

その時間になれば眠れるので、

まったく、薬が効いている気がしないと言った。

 

それで、昼間に寝てしまう。

 

天気が悪かったせいもあって、

ほとんど外にも出られなかった。

多分、主治医が想像している以上に

いろんなことが出来てない、という話で、

ご飯もほとんど作れない、とか

洗濯掃除も、毎日はしない、とか、

説明した。

それさえ、出来てない。

本当にしんどい。

細かく活動量を説明したのは、

前回、なんとなく、主治医と私の間に、

理解の差があるように感じたからだ。

掃除と洗濯を1日でやるとどっと疲れてしまうので、

別々の日にやることにしている。

 

ご飯も、お総裁を買ってくることが多いし、

作っても、肉と野菜を炒めるだけ、とか、

手抜きになる。

それより、栄養に偏りが出る。

 

主治医は、「あ~、」とちょっと眉をひそめて聴いていたが、

「涼しくなったら、眠れるんじゃないですか、

今日は、薬はこのままにしましょう」と言うことになった。

 

眠剤を追加で欲しかったが、

聞いてみたら、どうしても辛かったら、

また来てください、と言われた。

次回は、自立支援の手続きの更新もしなくては。

詩 『新月』

インスタもツイッターも、

中秋の名月の映える写真で溢れていて、

どう撮っても、映えない景色が画角に入ってしまう

私のところからは、

見えない新月を想像する方が美しく思えます。

 

新月

満月の輝きより

新月が好き

そこにあるのに

見えないものに

思いを馳せるのが好き

詩 『デパ地下』

先日、ツイッターで、ボードレールの『旅のいざなひ L'Invitation au Voyage』という詩について書いたので、

そのお誘いへの返信です。

 

私が持っているのは、鈴木信太郎訳『惡の華』(岩波文庫)で、

古典的な言葉づかいが、とても素敵な訳文です。

 

なのに、返事がデパ地下しか思い浮かばない・・・

かなり切実に、デパ地下に行きたいです。

 

『デパ地下』

チェーン店もない殺風景な駅前で

2軒のスーパーの間を

行きつ戻りつ

惣菜を見比べる

 

旅へ行こうなんて

誘ってくれなくてもいい

彼の地 なんて夢見てない

ただ デパ地下に行きたい

本の感想 『今日は誰にも愛されたかった』 著:谷川俊太郎 岡野大嗣 木下龍也

短歌と詩の連詩という、イレギュラーな形の作品。

最初に、連詩の順番で作品が並んでいて、その次に、お三方の「感想戦」があって、最後にもう一度、全体を通して読むような構成になっている。面白かったのは、感想戦を読んだ後で、全体を音読してみると、ひとつの詩として感じられたことだ。最初に読んだときは、意図を探り探り読んだので、そこまで俯瞰出来なかったのだけど。

それには、やはり谷川さんの最後の詩の「詩骨」ということばの存在が大きかったかなと思う。わたしには、それが背骨に思えた。全体を通したドラマツルギーのようなものと受け取った。背骨の中には脊髄がある。詩(短歌でも)としての真髄が一本全体を貫いているという印象になった。その貫き方が谷川さんらしくて、市川という人物がひょこっと時々顔を出すことで、一貫性を持たせている。

岡野さんのあとがきにもあったが、谷川さんという人は生まれながらの詩人なんだと思う。天から特別な才能を与えられたシャーマンでも、レトリックの粘土細工職人でもなく、等身大の人間なのに、ストライプのTシャツなんか着ちゃう人なのに、出てくる言葉がリリカルになっている。岡野大嗣さんと木下龍也さんの今っぽいことばも、ちゃんと受け止めて続けて行って、3人に間に、背丈の違いとか、ことばのしなやかさの違いを感じない。

 

タイトルになった木下さんの歌も、ひっかかりがあって好きです。良いタイトルだと思いました。そのタイトルに釣られましたが、裏切られませんでしたよ。

詩 『再起動』

『再起動』

どうして わたしには

夜 眠くなって眠る

朝 ぱちっと目を覚ますという

人間の基本的な営みが

難しいのだろう?

 

無音の午前3時

どうして?

どうして?

 

頭の中で静かに再起動が

繰り返される

 

止める方法を

わたしは知らないまま

詩 『金木犀』

この1年半で、すっかり手が荒れてしまいました。

 

金木犀

 

金木犀のハンドクリーム

あの香りを身に纏えるなんて

うっとりする

 

消毒液で爛れた手に

ヴァセリンを塗りながら思ふ