双極の波は あヲの波 創作とか診療日記とか

吐き出せない思いで窒息しないために

詩 『共感力』

共感力が高いのは、双極性障害2型の特徴の一つだそうです。

でも、思えば、小さい頃から、余計なことに首を突っ込むことが多かったですね。

「優しさ」と解釈されるものが、自分にとっては、

どの範囲の人たちのことまで考えればいいのだろう?と思いつつ、

不幸な事件に心を寄せてしまうと、自分の感情が引っ張られてよくない、

ということもあります。

社会とのスタンスが、いまいちわかってない。

 

 

『共感力』

 

優しくしなさいね みんなに と

教えられたから

ぼくは みんな のことを想う

 

せかい という3文字に

ひしめき合う78億人

ほとんど 誰なのかも知らない

78億人のことを

 

小さなモニターの向こうから

だれかの死を嘆く声

声は振動となって 

空気から 水から 大地から伝わって来る


だれかが死ぬと ぼくの心から

赤い血が流れ出す

ぼくの人である部分が

小さく死んでいく

きっと たくさんの死を見たら

ぼくの存在が使われ尽くして

死ねるんだろう

 

「共感力」という仕様を

初期設定されたぼくは

そこから逃れることは出来ない


だから せめてぼくの流れる血が

だれかの嘆きの

安らぎになれたら と願うけど

ぼくの祈りは届かないまま